平成17年度日本コンクリート工学協会北海道支部優秀学生賞の表彰

平成18年5月16日に行われた北海道支部総会の会場で、表彰式が行われ次の2名が表彰されました。 初めに、優秀学生賞授賞審査委員会委員長の太田利隆氏から選考経過・審査方法について説明があり、表彰理由が紹介されました。 引き続き佐伯昇支部長から一人一人に表彰状と賞品(図書カード)が授与されました。 また、副賞であるJCI会員資格は次年度分が授与されます。 当日は受賞者本人2名ともご都合が悪く、代理人の方が表彰式に出席されました。受賞者と受賞理由は次の通りです。

優秀学生賞受賞者および論文名

  1. 剛体バネモデルによるひび割れたコンクリートの塩分浸透解析
  2. 受賞者 早田光孝(北海道大学大学院修了)  推薦者 上田多門

    (理由)
    コンクリートの耐久性にとって塩分浸透は最も重要な要素の一つであるが、現行示方書の塩分拡散係数はひび割れの無いコンクリートが基本となっている。 本研究は荷重によるひび割れ進行と塩化物の浸透をモデル化し、更に骨材とモルタルの遷移帯における浸透も考慮に入れた塩分浸透解析を行うとともに、 実験により検証したものである。荷重を受けコンクリート中に微細なひび割れが発生した場合でも、塩分浸透は飛躍的に促進されることを明らかにした。 本研究はコンクリートの塩分浸透に与える各種要因の影響を理論的に解明する手がかりを与えるものであり、今後の発展が期待される。


  3. 施工性を向上させた柱SRC梁S架構のせん断抵抗性能に関する実験的研究
  4. 受賞者 若林久人(北海道大学大学院修了)  推薦者 城 攻

    (理由)
    鉄骨鉄筋コンクリート構造は力学的性能が優れている反面、施工が煩雑なため実際の現場から敬遠される傾向がある。 本研究は鉄筋の代わりにワイヤメッシュを用いることにより、施工性に優れたSRC構造の開発を目的としたものである。 鉄骨断面やかぶりコンクリートの拘束条件を変えた供試体に静的繰り返し漸増変位を与えて、 ワイヤメッシュでコンクリートを拘束したSRC柱のせん断抵抗性能が従来の鉄骨鉄筋コンクリート柱と変わらないことを確かめたものである。 施工が容易であることは構造物が優れている要件の一つである。ワイヤメッシュの力学的挙動をさらに解明し、 柱及びジョイント部の耐力算定法が確立すれば本構造の実構造物への適用も期待できる。


選考経過

平成17年度JCI北海道支部優秀学生賞として修士論文2編、卒業論文1編の応募があった。 平成18年3月27日に、平成17年度JCI北海道支部優秀学生賞授賞審査委員会を開催し、選考方針を討議した後、 審査基準を次のように定め選考した。その結果上記2名を推薦し、4月12日開催の役員会にて承認された。

※優秀学生賞授賞審査委員会 委員長 太田利隆
委   員 堀口   敬
委   員 溝口光男
委   員 田口史雄
委   員 濱   幸雄

審査基準
  1. 修士論文と卒業論文ではそれぞれの研究レベルで評価する。

  2. JCI「コンクリート工学年次論文集」論文査読要領の採否の判定基準に準じて定めた「新規・独創性」「発展性」「有用性・実用性」 「完成度(卒論では理解度)」「成果・現象解明」の5項目について、各項目3段階に評価(評価点0,1,2)する。

  3. 委員5名による評価点の合計が30点以上(全員が全項目を2点とした場合50点)の論文を候補とする。但し候補対象論文が多数ある場合には上位3論文とする。